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冬のしじみは湖底でどう過ごしている?

しじみは冬眠するの?冬の湖底で過ごす様子と低水温を生き抜く仕組み

冬の宍道湖では、水面に冷たい風が吹きつける一方、その湖底でしじみは静かに春を待っています。動物のように眠り続けるわけではありませんが、水温が下がると活動や成長を抑え、少ないエネルギーで冬を越します。しじみは寒い湖底で、どのように生きているのでしょうか。低水温期の体の変化と、冬に味わいたい「寒しじみ」の特徴をひも解きます。

しじみちゃん

宍道湖育ちのしじみちゃんです! 冬の湖底では、動かないことも立派な生きる知恵なんだよ!

しじみは本当に冬眠するの?

「冬になるとしじみは冬眠する」と表現されることがあります。

確かに、寒い時期のしじみは暖かい時期ほど活発には動きません。しかし、哺乳類の冬眠のように、長期間眠り続けてすべての活動を止めるわけではありません。

水温に合わせて体の働きを緩やかにし、エネルギーの消費を抑えながら冬を越していると考える方が実際の生態に近いでしょう。

水温が下がると活動や成長が鈍くなる

しじみは、自分で体温を一定に保つことのできない変温動物です。そのため、周囲の水温が下がると、呼吸や摂餌、成長などの生理活動も緩やかになります。

宍道湖のヤマトシジミでは、11月から3月ごろの冬季に、殻長の成長がほとんど見られないことが報告されています。

まったく活動しなくなるわけではありませんが、暖かい季節と比べて動きが少なくなり、体の維持に必要なエネルギーを節約する時期に入るのです。

餌を取り込む量も少なくなる

しじみは、入水管から水を取り込み、水中の植物プランクトンなどをこし取って食べる「ろ過摂食」を行います。

低水温期には水管の出し入れや殻の開閉が少なくなり、餌を取り込む量も減ると考えられます。ただし、水温だけで行動が一律に決まるわけではありません。

塩分や酸素量、底質、餌となるプランクトンの量など、周囲の環境も活動に影響します。

冬のしじみは湖底でどう過ごしている?

宍道湖のしじみは、砂や泥のある湖底を生活の場としています。

冬になると別の場所へ大きく移動するのではなく、底質に体を潜らせた状態で、周囲の環境変化に耐えながら過ごします。

砂や泥の中に潜って身を守る

ヤマトシジミには、斧足と呼ばれる足を使って砂や泥の中へ潜る性質があります。

底質の中に身を置くことは、水流で流されるのを防ぐだけでなく、魚や鳥などの外敵から身を守るうえでも役立ちます。

冬だけ特別に深く潜るとは限らない

冬のしじみについて、「寒さを避けるため夏より深く潜る」と説明されることがあります。

しかし、潜る深さや速さは、水温だけでなく、砂や泥の粒の細かさ、塩分の変化、個体の大きさなどにも左右されます。そのため、「冬になると数センチ深く潜る」と一律に決めることはできません。

しじみはその時々の環境に応じて潜砂し、活動を抑えながら湖底で冬を越していると考えられます。

なお、長い冬を越すしじみが何年ほど生き、どのように成長していくのかは、関連記事「しじみの寿命は何年?生息環境で変わる成長スピードと貝殻の成長線から年齢を読み取る方法」で詳しく紹介しています。

低水温を生き抜くしじみの仕組み

しじみが冬を越せる理由のひとつが、水温に合わせて体の働きを抑える性質です。

人間のように食事から絶えずエネルギーを補給するのではなく、活動が難しい時期には消費する量そのものを減らします。

代謝を抑えてエネルギーを節約する

水温が下がると、しじみの呼吸や殻の開閉、摂餌などの活動も緩やかになります。

これによって体内に蓄えているエネルギーが急激に消費されるのを防ぎ、餌の少ない時期を乗り越えやすくなります。

完全に停止するわけではない

低水温期のしじみは、生命活動を完全に止めているわけではありません。

わずかながら呼吸を続け、周囲の水温や塩分、酸素量などの変化にも対応しています。冬眠というよりも、体の働きを必要最小限に抑えた「省エネルギー状態」と捉えると分かりやすいでしょう。

こうして冬を越したしじみは、水温が上がる春以降、再び摂餌や成長を活発にしていきます。

冬の「寒しじみ」がおいしいといわれる理由

寒い時期に水揚げされるしじみは、一般に「寒しじみ」と呼ばれています。

冬の味覚として知られていますが、そのおいしさを「寒さで旨味が凝縮するから」とだけ説明するのは正確ではありません。

しじみの味や身入りには、水温だけでなく、季節ごとの成長や産卵、塩分、餌の状態などが関係しています。

冬から初夏にグリコーゲンが増える傾向がある

ヤマトシジミの成分を季節ごとに調べた研究では、グリコーゲンの含有量が2月から6月に高く、8月から10月には低くなる傾向が報告されています。

グリコーゲンは、しじみが活動するために蓄えているエネルギー源のひとつです。含有量が多い時期は可食部の割合も高くなる傾向があり、身の充実感や味わいに関係すると考えられています。

旨味成分は水温だけで決まらない

しじみの味には、グリコーゲンのほか、アラニンやグルタミン酸などの遊離アミノ酸、コハク酸をはじめとする有機酸が関わっています。

ただし、これらの成分がすべて冬になると一斉に増えるわけではありません。生息する場所の塩分や水温、個体の大きさなどによっても成分の構成は変化します。

低水温の場所や冬季のしじみでは、オルニチンが多くなる傾向も報告されています。寒しじみのおいしさは、特定の成分ひとつではなく、身入りや季節、生息環境が重なって生まれるものなのです。

冬を越せるしじみほど大粒になるの?

宍道湖産大粒しじみ

しじみは、冬を一度越しただけで急に大きくなるわけではありません。

むしろ冬季は成長がほとんど進まず、水温が上がって餌を取り込みやすくなる春から秋にかけて成長します。

大粒になるまでには何度もの冬を越す

宍道湖のヤマトシジミが漁獲できる大きさに育つまでには、一般に複数年を要します。

その間には、水温の低い冬だけでなく、夏の高水温や塩分変化、餌の多少、貧酸素など、さまざまな環境の変化を乗り越えなければなりません。

大粒しじみが少ない理由にもつながる

すべてのしじみが同じ速さで成長し、大粒になるまで生き残れるわけではありません。

長い年月をかけて成長した大粒しじみが限られている理由については、関連記事「なぜ大粒のしじみは希少なのか」で、成長期間や生息環境との関係を詳しく解説しています。

冬のしじみをおいしく味わうポイント

コクヨーのしじみ

冬のしじみを手に入れたら、出汁と身の味わいを生かした調理がおすすめです。

なかでも味噌汁やすまし汁は、しじみの風味をシンプルに楽しめます。

しじみは水からゆっくり加熱する

砂抜きを終えたしじみは、鍋に水と一緒に入れてから火にかけます。

急いで強火にするのではなく、中火程度でゆっくり温度を上げていくと、殻が開くまでにしじみの成分が煮汁へ溶け出しやすくなります。

殻が開いた後は煮すぎない

しじみの殻が開いた後も長く煮続けると、身が縮んで硬くなりやすくなります。

アクを取り除き、殻が開いたら火加減を弱め、味噌や調味料を加えて手早く仕上げましょう。出汁を楽しみながら、身も食べやすく仕上がります。

なお、しじみの殻が黒く見える理由は、冬眠や鮮度だけで決まるものではありません。殻の色がつくられる仕組みについては、関連記事「しじみの殻はなぜ黒い?殻の黒さを生み出す成分を解析」で紹介しています。

しじみちゃん

静かな冬を越したしじみ、まずはあったかいお味噌汁で味わってね!

まとめ|しじみは冬眠せず、活動を抑えて冬を越す

しじみ汁

しじみは、動物のように眠り続ける「冬眠」をするわけではありません。

冬の湖底では、砂や泥の中に身を置き、水温の低下に合わせて呼吸や摂餌、成長などの活動を緩やかにします。体内のエネルギー消費を抑えることで、餌が少なく成長しにくい季節を乗り越えているのです。

冬から春にかけては、グリコーゲン量や身入りが高まる傾向も報告されています。ただし、寒しじみのおいしさは水温だけで決まるものではなく、塩分や餌、個体の大きさなど、宍道湖の複雑な環境によって育まれます。

静かな湖底で冬を越す姿を思い浮かべながら味わえば、いつものしじみ汁にも、少し違った深みを感じられるかもしれません。

宍道湖で育ったしじみの味わいを、ご家庭でも楽しんでみませんか。

コクヨーオンラインショップでは、砂抜きなどの下処理を済ませた宍道湖産しじみを取り扱っています。届いた後の手間が少なく、味噌汁やすまし汁にも手軽にお使いいただけます。

コクヨーオンラインショップ

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